2019年12月8日日曜日

行政書士試験「錯誤」(2017-28)【判例問題】

解説文自体に修正箇所はないものの、問題の元になっている錯誤が大幅に改正されたため、その点説明する。なお問題文についても修正事項がある。

新法での錯誤について
【錯誤成立要件と効果】
錯誤(新95条)は旧法に比べ大幅に改正された。新法では、新95条1項1号か2号に基づく錯誤であって、当該錯誤が「法律行為の目的」及び「取引上の社会通念」に照らし「重要」なものである場合、取消し得るものとなった(新95条1項)。
旧法においては「法律行為の要素」に錯誤がある場合、これを無効としていたが(肢2、4、5参照)、今後は上記括弧三要件をもとに錯誤が成立するかを判定することとなる(法律行為の要素、が具体化された)。また錯誤の効果は無効から取消に改正された。

【争点の整理-動機の錯誤-】
新法95条1項2号は「動機の錯誤」についての定めであるが、古くから争われてきたこの錯誤類型を今回立法化するに至った。但しこの錯誤については、動機の「表示」(新法95条2項)が必要となる(表示は黙示でも良い〔肢5判例参照〕)。

【錯誤成立と相手方の事情】
旧法下では、錯誤成立に付き「相手方の事情」を考慮すべきか否か規定がなかったものの、新法では新たな規定が設けられた(新法95条3項)。

【第三者保護規定の新設】
旧法下では甲乙間の売買契約が錯誤で無効になった場合、乙からの転得者丙を保護する規定がなかったが、新法では錯誤取消しから第三者を保護する規定が新設された(新法95条4項)。

以上に付き、大村敦志・道垣内弘人編『解説民法(債権法)改正のポイント』(2017年、有斐閣)20ー25頁(角田美穂子執筆)

問題文の修正

1) 削除とする。錯誤が無効から取消になった結果、1)の元になった昭和45年判例が意味をなさなくなると思われるからである。つまり、新法の下では「表意者自身が錯誤を認めており、表意者に対する債権を保全する必要がある場合、表意者の債権者は」、表意者の錯誤取消しを代位行使(423条1項)すれば良いからである。

2) 「保証人の錯誤は要素の錯誤に当たる」。保証人の錯誤は法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであると言える、に修正する。肢の正誤に変更はない。

3) 「身分行為は錯誤に基づく無効の対象とならず」。身分行為は錯誤に基づく取消の対象とならず、に修正する。肢の正解に変更はない。

4) 「連帯保証人の錯誤は要素の錯誤に当たらない」。連帯保証人の錯誤は法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであると言えない、に修正する。肢の正誤に変更はない。

5) 「要素の錯誤が認められる」。法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものについて錯誤が認められる、に修正する。肢の正誤に変更はない。

原田尚彦「裁量権収縮論」

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