2020年6月12日金曜日

行政書士試験「債権の準占有者への弁済」(2014-33)【判例問題】

民法改正に伴い解説に補足する。

ア) 正しい。準占有は本来、「自己のためにする意思」を以て財産権を行使する場合(205条)を指すが、このように債権者の「代理人」や「使者」と称する者への弁済も、債権の準占有の規定によるというのが判例である(最判昭和42年12月21日)。また善意無過失という主観的要件についての説明も正しい(最判昭和41年10月4日)。野村-栗田-池田-永田『民法Ⅲ』第2版補訂(1999年、有斐閣)230頁。

【改正点】「債権の準占有者」についての規定(旧478条)が、「『受領権者』」としての外観を有する者への弁済」という規定に改められた(新478条)。受領権者の定義に注意(同括弧書)。

イ) 正しい。このような期限前の払戻も商慣習上満期の払戻に並ぶ弁済に該当し、478条の適用があるというのが判例である(最判昭和41年10月4日)。前掲野村他231頁。

【改正点】ア)参照。478条→新478条に変更。

ウ) 正しい。預金証書の所持人に、その預金債権と相殺する予定で貸し付けを行った場合にも、478条が類推適用されるというのが判例である(昭和48年3月27日)。前掲野村他231頁。

【改正点】ア)参照。478条→新478条に変更。

エ) 正しい。受取証書持参人は、弁済を受領する権限があったものとみなされるが(480条本文)、この受取証書は真正に作成されたものでなければならないので、この場合同条の適用はない(通説、大判明治41年1月3日)。但し「偽造」の受取証書に基づいて債権を行使し受領した場合、債権の準占有者への弁済として有効になる場合もある(大判昭和2年6月22日)。前掲野村他232頁。

【改正点】法改正により旧480条は削除された。新法の下では、受領権者ではない受取証書の持参人に対する弁済人の効力は、受取証書の真正偽造をとわず、新478条の適用によって判断されることなった。大村敦志、道垣内弘人編『解説民法(債権法)改正のポイント』(2017年、有斐閣)310頁(加毛明執筆)。

オ) 正しい。債権の二重譲渡においてこのような相当の理由がある場合、467条2項所定の対抗要件に付き劣後する譲受人に対してされた弁済についても、478条の適用があるというのが判例である(最判昭和61年4月11日)。

【改正点】なし。なおア)参照。478条→新478条に変更。

丸山眞男「日本の思想」

   「思想が対決と蓄積の上に歴史的に構造化され」ず、ある論争が「共有財産となって、次の時代に受け継がれて」ゆかないという伝統が、日本の論争史にはある。論争において、「これだけの問題は解明もしくは整理され」何がそうでないか「けじめがいっこうにはっきりしないままたち消えになってゆく...