2020年8月3日月曜日

行政書士試験「錯誤」(2013-27)【判例問題】

民法改正に伴い解説に補足する。

ア) 誤り。「要素の錯誤」は、「因果関係」と「重要性」の2要素で判断される。前者は錯誤がなければ表意者は意思表示をしなかったということである。また後者は、当該錯誤が一般取引の通念に照らし重要な部分についての錯誤であること、を意味する。内田貴『民法Ⅰ』第2版(1999年、東大出版会)67頁。大判大正3年12月15日。

【改正点】新法では、旧95条に規定されていた「要素の錯誤」(解説文中の「重要性」)について具体化が図られた。つまり、「錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるとき」(新95条1項本文)とされた。なお解説文中の「因果関係」についての説明は新法でも妥当すると思われる。

イ) 誤り。人違いの錯誤は、「売買」においては一般的に錯誤にならない(大判大正8年12月16日。但し不動産売買において錯誤になるとされた事案として、最判昭和29年2月12日)。一方「委任」においては相手が誰かは重要な意味を持つ。錯誤を認めた事案として大判昭和10年12月13日。山田-河内-安永-松久『民法Ⅰ』第3版補訂(2007年、有斐閣)133頁。

【改正点】なし

ウ) 誤り。動機の錯誤は、動機が相手方に表示され意思表示の内容になった場合、要素の錯誤とし得るが(大判大正3年12月15日)、動機の表示は黙示のものでもよい(最判平成1年9月14日)。前掲内田65頁。

【改正点】「動機の錯誤」についての判例法理が明文化された。つまり、「表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤」(新95条1項1号)は、「その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り」取消すことができる(新95条2項)、とされた(新95条1項本文の「重要性」要件も具備しなければならない)。大村敦志、道垣内弘人編『解説民法(債権法)改正のポイント』(2017年、有斐閣)20頁(角田美穂子執筆)。

エ) 正しい。「第三者」による錯誤無効の主張は許されないというのが判例だが(最判昭和40年9月10日)、本肢のように債権保全の必要性があり表意者が意思表示の瑕疵を認めている場合、例外として第三者からの錯誤無効の主張を認めている(最判昭和45年3月26日)。前掲内田71-73頁。

【改正点】従前、錯誤に基づく意思表示は「無効」とされていたが、新法では「取消し」できるものに改められた(新95条1項本文)。これは前掲昭和40年判例で示された立場即ち、「『相対的無効』『取消的無効』と説明してきたところを正面から『取消し』と規定するものである」。前掲大村他23頁。なお前掲昭和45年判例は、新法の下では妥当しなくなると思われる(第三者は、錯誤表意者の取消権を代位行使することになろうか)。

オ) 正しい。前掲内田67-68頁。大判大正7年12月3日。

【改正点】錯誤の効果が改正されたことに注意(新95条3項、前肢解説参照)。主張立証についての説明は新法でも妥当すると思われる。

幸徳秋水『帝国主義』2

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