2020年8月5日水曜日

行政書士試験「詐害行為取消権」(2013-30)【判例問題】

民法改正に伴い解説に補足する。

1) 誤り。判例は、遺産分割は、共同相続人の間で相続財産の帰属を確定させる行為であり、財産権を目的とする法律行為にあたるとしている(最判平成11年6月11日)。つまり詐害行為取消権の対象になる。

【改正点】新法は、旧424条1項に規定されていた「法律行為の取消し」を「行為の取消し」(新424条1項)に改めた。これは従前、厳密な意味で法律行為ではない弁済等も詐害行為取消権の対象としてきたことに対応する。大村敦志、道垣内弘人編『解説民法(債権法)改正のポイント』(2017年、有斐閣)185ー186頁(幡野弘樹執筆)。

2) 正しい。最判昭和49年9月20日である。野村-栗田-池田-永田『民法Ⅲ』第2版補訂(1999年、有斐閣)104-105頁。

【改正点】なし

3) 誤り。この場合、原則詐害行為取消権の対象にならないが、768条3項の趣旨に反し不相当に過大であり、財産分与に仮託してなされたような財産の処分と言えるような特段の事情がある場合は、対象になるというのが判例である(最判昭和58年12月19日)。前掲野村他104-105頁。

【改正点】なし。なお新424条の4参照。

4) 誤り。詐害行為取消権の範囲は原則債権者を害する程度、即ち債権額である(大判明治36年12月7日)。しかし詐害行為の目的物が不可分の場合、その目的物が債権額を超える場合でも、詐害行為を全部取消し得る(最判昭和30年10月11日)。例えば債権額<不動産価額の場合であっても、債権保全のため当該不動産の贈与行為全部を取消し得る。前掲野村他112-113頁。

【改正点】前掲大判明治36年判例について明文化がなされた(新424条の8)。前掲大村他200頁。

5) 誤り。詐害行為取消権を行使した債権者は、取消に基づいて返還すべき財産が動産や金銭である場合、債務者ではなく自己に引渡しを求める事ができるというのが判例である(大判大正10年6月18日)。前掲野村他114頁。

【改正点】前掲大判大正10年判例について明文化がなされた(新424条の9)。
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原田尚彦「裁量権収縮論」

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