2020年8月10日月曜日

行政書士試験「解除」(2013-31)【条文知識問題】

民法改正に伴い解説に補足する。

ア) 誤り。当該建物は「Aの過失」により焼失しているので、危険負担ではなく債務不履行(履行不能)が問題となる。そして履行不能の場合、不能という性質上解除権の行使(543条)について、催告や履行期の到来は不要と解されている。藤岡-磯村-浦河-松本『民法Ⅳ』第3版補訂(2009年、有斐閣)44頁。

【改正点】新法では、無催告解除の類型が法定化されている(新542条)。旧543条の内容は、新542条1項1号(全部不能)と新542条2項1号(一部不能)において規定されている。

イ) 誤り。引渡期限が来てもAが当該建物を引き渡していないのだから、履行遅滞(412条)が問題となり得る。履行遅滞の場合、債権者は相当期間を定めた履行の催告の後解除権を行使することになるが(541条)、相当期間を定めていない催告をした場合でも、相当期間たてば解除はできると解されている(改めての催告は不要である)。前掲藤岡他43頁。

【改正点】なし

ウ) 正しい。544条1項。

【改正点】なし。

エ) 誤り。解除の結果として第三者Cの権利を害することはできないが(545条1項但書)、判例はC(解除前の第三者)がこの保護を受けるには対抗要件としての登記が必要とする(大判大正10年5月17日)。前掲藤岡他50頁。

【改正点】なし

オ) 正しい。解除権行使の結果、当事者は原状回復義務を負うことになるので(544条1項)、物(自動車)が給付されていればこれを返還しなければならず、さらに545条2項との均衡上物の使用利益も返還しなければならないからである。前掲藤岡他49頁。

【改正点】明文がなかった使用利益の返還について規定が設けられた(新545条3項)。

原田尚彦「裁量権収縮論」

 「一 法治行政と行政便宜主義」  行政庁は、公共の安全と秩序を保持する責任を負い、「そのために国民の権利自由に規制を加える権限を有している」。そしてこの権限は、「行政法規の授権するところに従い、法規にそって行使しなければならない」( 法治行政の原則 )。但し、授権がある場合でも...