2020年10月31日土曜日

行政書士試験「請負」(2011-34)【条文知識問題】

民法改正に伴い解説に補足する。

ア)、ウ)、エ) 

【改正点】なし。

イ) 民法と同様である。634条2項。

【改正点】あり。旧634条は削除された。
旧634条2項が規定していた、「瑕疵の補修(修補)に代え、または補修(修補)とともに、瑕疵に基づく損害賠償」を求め得るか否かは、契約不適合を理由とする追完請求権等に関する売買の規定の解釈(準用。559条、562ー564条)に委ねられることになった。道垣内弘人編『解説民法(債権法)改正のポイント』(2017年、有斐閣)442ー443頁参照(石川博康執筆)449頁。

2020年10月29日木曜日

行政書士試験「契約総合」(2011-32)【判例問題】

民法改正に伴い解説に補足する。

1) 正しい。忘恩行為が問題となる事案であるが、判例は、贈与の見返りとしての扶養義務という負担の不履行を理由に、贈与契約の解除を認めた(最判昭和53年2月17日。但し判例は忘恩行為構成ではなく、負担付贈与構成をとり、553条が準用する541条による解除を認めた)。藤岡-磯村-浦河-松本他『民法Ⅳ』第3版補訂(2009年、有斐閣)58頁。

【改正点】なし。

2) 誤り。よってこれが正解である。民法557条は、「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる」と規定するが、ここでの問題は着手した側が、未だ着手していない側に向かって解除できるかである。判例はこの点肯定的判断をしている(最大判昭和40年11月24日)。前掲藤岡他70頁。

【改正点】あり。この肢が「誤り」である点に変更はないが、解説を次のように変更する。
民法旧557条は、「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは」「契約の解除をすることができる」と規定していたが、これとの関係で、着手した側が未だ着手していない側に向かって解除できるかが問題となった(判例は肯定する〔最大判昭和40年11月24日〕)。現行の新557条(同条1項但書注意)は、この大法廷判決を明文化したものである。

3) 正しい。信頼関係法理である。最判28年9月25日、前掲藤岡他129頁。

【改正点】なし

4) 正しい。委任事務が「受任者の利益のためにもなされた場合」、651条による解除を認めないのが判例であるが(大判大正9年4月24日)、ここでいう「やむを得ない事情があるとき」や委任者が解除権を放棄したとまでの状況がない場合、同条による解除が認められる(最判昭和43年9月20日、最判昭和56年1月19日)としている。前掲藤岡他188-189頁。

【改正点】あり。これら判例を整理したものが新651条2項である。委任事務が「受任者の利益のためにもなされた場合」(新651条2項2号括弧書注意)であっても、委任契約を解除し得るが、「やむを得ない事由」がない限り受任者に損害賠償請求しなければならない、とされた。新規定のもとでは、「やむを得ない事由」がなくとも新651条にもとづく解除が可能となったことに注意。道垣内弘人編『解説民法(債権法)改正のポイント』(2017年、有斐閣)219ー220頁参照(石川博康執筆)449頁。

5) 正しい。大判昭和7年4月30日である。

【改正点】なし。

2020年10月27日火曜日

行政書士試験「連帯債務、連帯保証」(2011-31)【条文知識問題】

民法改正に伴い解説に補足する。

ア) 正しい。連帯債務については民法436条、連帯保証については457条2項。野村-栗田-池田-永田『民法Ⅲ』第2版補訂(1999年、有斐閣)132、152頁。

【改正点】あり。旧436条については新439条が規定することとなった。

イ) 正しい。連帯債務については437条。一方連帯保証人についての免除は、主たる債務者には影響しないので、本肢のようになる(458条は437条を準用するものの、連帯保証人には負担部分がないので、負担部分の存在を前提とする同条を準用する余地がない)。前掲野村他133、161頁。

【改正点】あり。旧437条は削除された。例えば、AーCは甲に対し900万の「連帯債務」を負っており(負担部分3分の1ずつ)、甲がAに対し債務免除をしたとする。この場合新法では、免除後も甲はBとCに900万円を請求し得るようになった(連帯債務における債務免除は相対的効力しか有しない〔新441条本文。旧437条と比較せよ〕)。なお、「連帯保証」について、問題文の「主たる債務者はその債務の全額について免れることはない」という結論については、変更はない(新458条。連帯債務の場合と同様相対的効力しか有しない)。大村敦志、道垣内弘人編『解説民法(債権法)改正のポイント』(2017年、有斐閣)219ー220頁参照(幡野弘樹執筆)。

ウ) 誤り。連帯債務については、「負担部分について自己の債務を免れることができる」(439条)、のである。連帯保証については正しい説明となっている。この場合も、イ)と同様458条による439条の準用の余地はない。

【改正点】あり。旧439条は削除された。債務免除と同様、連帯債務における消滅時効相対的効力しか有しない(新441条本文)。AーCは甲に対し900万の「連帯債務」を負っており(負担部分3分の1ずつ)、Aにつき時効が成立したとする。この場合でも、甲はBとCに900万円を請求し得るようになった。連帯保証についての説明は正しい(新458条)。前掲大村他221ー22頁(幡野弘樹執筆)

エ) 誤り。連帯債務については正しい(434条)。一方連帯保証人に対する履行の請求は、主たる債務者に対しても効力が及ぶ(458、434条)結果、時効は中断する(147条1号)。

【改正点】あり。旧434条は削除された。新法では、「連帯債務において、債権者が連帯債務者の1人に対してした債務の履行の請求」は、他の債務者に効力が及ばないこととされた(相対的効力。新441条本文〔同条但書注意。新441条本文は任意規定である〕)。前掲大村他215頁以下(幡野弘樹執筆)。また、「連帯保証人に対する履行の請求」についても、主たる債務者に効力が及ばないこととされた(相対的効力新458条〕。つまり主たる債務の時効は中断しない)。前掲大村他257ー258頁(大澤彩執筆)。

オ) 誤り。連帯債務については正しい(442条1項)。一方連帯保証の場合も求償は可能である(465、442条)。

【改正点】なし。

2020年10月26日月曜日

行政書士試験「無効、取消」(2011-27)【判例問題】

民法改正に伴い解説に補足する。

ア) 誤り。条文上保証人は取消権者ではない(民法120条参照)ので、当該金銭消費貸借契約を取消すことはできない。この場合の保証人については、山田-河内-安永-松久『民法Ⅰ』第3版補訂(2007年、有斐閣)149頁参照。

【改正点】なし

イ) 誤り。詐欺に気づいた後BがCに絵画を転売したのであれば、BはAとの契約を取消すことはできないが(125条5号、法定追認)、この場合、BはCへの転売後詐欺に気づいたのであるから、取消権を失わない。

【改正点】なし

ウ) 誤り。著名な論点である。無効は誰でも主張できるのが原則だが(前掲山田他144頁)、錯誤無効については、表意者を保護するものであるから、表意者以外の者からの無効主張を認める必要はない、と解されている(最判昭和40年9月10日)。前掲山田他135頁。

【改正点】錯誤の効果が無効から取消に改められた(新95条1項)。これまで、錯誤無効は「無効」であるにもかかわらず、「表意者以外の者からの無効」主張は認められないとされてきたが(相対的無効、取消的無効)、この趣旨を取消として立法化したのが今回の改正である。大村敦志、道垣内弘人編『解説民法(債権法)改正のポイント』(2017年、有斐閣)23頁参照(角田美穂子執筆)。

エ) 誤り。強迫による意思表示は取消すことができるが(96条1項)、この取消権は、「追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する」(126条)。追認擬制なのではない。

【改正点】なし

オ) 正しい。121条但書である。

【改正点】旧121条但書の内容は、新121条の2第3項において規定されている。

丸山眞男「日本の思想」

   「思想が対決と蓄積の上に歴史的に構造化され」ず、ある論争が「共有財産となって、次の時代に受け継がれて」ゆかないという伝統が、日本の論争史にはある。論争において、「これだけの問題は解明もしくは整理され」何がそうでないか「けじめがいっこうにはっきりしないままたち消えになってゆく...