2020年10月26日月曜日

行政書士試験「無効、取消」(2011-27)【判例問題】

民法改正に伴い解説に補足する。

ア) 誤り。条文上保証人は取消権者ではない(民法120条参照)ので、当該金銭消費貸借契約を取消すことはできない。この場合の保証人については、山田-河内-安永-松久『民法Ⅰ』第3版補訂(2007年、有斐閣)149頁参照。

【改正点】なし

イ) 誤り。詐欺に気づいた後BがCに絵画を転売したのであれば、BはAとの契約を取消すことはできないが(125条5号、法定追認)、この場合、BはCへの転売後詐欺に気づいたのであるから、取消権を失わない。

【改正点】なし

ウ) 誤り。著名な論点である。無効は誰でも主張できるのが原則だが(前掲山田他144頁)、錯誤無効については、表意者を保護するものであるから、表意者以外の者からの無効主張を認める必要はない、と解されている(最判昭和40年9月10日)。前掲山田他135頁。

【改正点】錯誤の効果が無効から取消に改められた(新95条1項)。これまで、錯誤無効は「無効」であるにもかかわらず、「表意者以外の者からの無効」主張は認められないとされてきたが(相対的無効、取消的無効)、この趣旨を取消として立法化したのが今回の改正である。大村敦志、道垣内弘人編『解説民法(債権法)改正のポイント』(2017年、有斐閣)23頁参照(角田美穂子執筆)。

エ) 誤り。強迫による意思表示は取消すことができるが(96条1項)、この取消権は、「追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する」(126条)。追認擬制なのではない。

【改正点】なし

オ) 正しい。121条但書である。

【改正点】旧121条但書の内容は、新121条の2第3項において規定されている。

原田尚彦「裁量権収縮論」

 「一 法治行政と行政便宜主義」  行政庁は、公共の安全と秩序を保持する責任を負い、「そのために国民の権利自由に規制を加える権限を有している」。そしてこの権限は、「行政法規の授権するところに従い、法規にそって行使しなければならない」( 法治行政の原則 )。但し、授権がある場合でも...