2021年6月18日金曜日

行政書士試験「制限能力者制度」(2010-27)【条文知識問題】

民法改正に伴い解説に補足する。

1) 誤り。「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況」にあり、後見開始の審判を受けた者が、成年被後見人と扱われる(民法8条)。事理弁識能力欠如が常況であることをもって、当然に成年被後見人になるわけではない。

【改正点】なし。

2) 誤り。当該譲渡契約が「日常生活に関する行為」に該当するものであれば、保佐人の同意なくとも被保佐人は、単独で完全かつ有効な法律行為をなし得る(13条1項本文但書、9条但書)。

【改正点】なし。

3) 誤り。第三者による詐欺である。この場合、鑑定人による欺罔行為につきBが悪意であれば、AはBへの譲渡契約を取消し得る(96条2項)。

【改正点】改正前96条2項は、意思表示の相手方が詐欺の事実つき悪意の場合に限り取消し得るとしていたが、新96条2項では相手方が詐欺の事実を「知ることができた」つまり有過失の場合にも取消を認めることになった。大村敦志、道垣内弘人編『解説民法(債権法)改正のポイント』(2017年、有斐閣)24頁(角田美穂子執筆)。

4) 正しい。心裡留保の典型例である(93条本文)。

【改正点】93条本文を93条1項本文にする。

5) 誤り。虚偽表示(94条1項)の事案であるが、虚偽表示の無効を対抗できない「第三者」(94条2項)は、善意、無過失を具備する必要があるという説もあるが(有力説)、通説、判例は条文通り善意のみで足りるとしているので、善意、有過失のCに対しAは虚偽表示の無効を対抗できない。山田-河内-安永-松久『民法Ⅰ』第3版補訂(2007年、有斐閣)126-127頁。

【改正点】なし。

原田尚彦「裁量権収縮論」

 「一 法治行政と行政便宜主義」  行政庁は、公共の安全と秩序を保持する責任を負い、「そのために国民の権利自由に規制を加える権限を有している」。そしてこの権限は、「行政法規の授権するところに従い、法規にそって行使しなければならない」( 法治行政の原則 )。但し、授権がある場合でも...