2022年2月18日金曜日

芦部信喜「憲法学を学ぶ-私の憲法40年-」

 ① 「憲法の規範と現実」 「これから憲法を勉強していく場合に」、規範は現実との関係で意味を持つので、「規範と現実のかかわり、その両者の関係を絶えず念頭に置いて勉強してほしい」。その際、「いたずらに政治論、政治論的な解釈に惑わされないで、冷静な目で現実を見詰める態度」が要求される。

② 「憲法解釈と社会・歴史」 憲法解釈をする際、法律解釈の一般論に加えて、政治社会歴史を見る目「そういう目を持つことが必要になる」。その上で「法の趣旨、目的を活かす方向で解釈していく心構えが必要」。そしてこの姿勢とともに、「憲法の最高法規性」即ち「憲法は権力を拘束する」という憲法の「理念的な側面」と「法の実効性」を「同時に堅持していくことが必要」である。また、解釈の際、「憲法の規定の中に異なる種類のものがある、つまり「憲法の規定の意味が、本来歴史的にほぼ内容が確定している条項」と、条文自体の現代的意味がわからない「社会に開かれている条文」があることに注意する。

③ 「実質的憲法の理論-憲法に内在する基本価値-」 「憲法を護るにはどうしたらよいか」。憲法の実質的な意味(「権力を制限し、国民の権利自由を保障する法規範」)を中心に「政治あるいは権力から憲法の基本的なものを擁護していく」、「そういう憲法論の構成こそ憲法学に課せられた最大の課題」なのではないか。憲法を勉強していく場合、「『憲法とはなにか』あるいは『立憲主義とはなにか』という問いの意味とその答えの中身」をよく理解してほしい。

④ 「憲法訴訟論の意義」 人権を争う際「観念的にただ条文を解釈するだけではなく」、「争い方自体を考えなければ勝てないのではないか」。違憲というために「どういう条文をどのように争うかをよく心得た上で争う必要がある」。そして法律の合憲、違憲を考える際に、その法律を支える「一定の社会的事実」「立法事実」を検証していく必要がある。

芦部信喜「憲法学を学ぶ-私の憲法40年-」『憲法叢説1憲法と憲法学』所収(1994年、信山社)141-165頁。

原田尚彦「裁量権収縮論」

 「一 法治行政と行政便宜主義」  行政庁は、公共の安全と秩序を保持する責任を負い、「そのために国民の権利自由に規制を加える権限を有している」。そしてこの権限は、「行政法規の授権するところに従い、法規にそって行使しなければならない」( 法治行政の原則 )。但し、授権がある場合でも...