2022年2月22日火曜日

佐藤幸治『憲法訴訟と司法権』

 「違憲判決の効力」

① 違憲判決の効力における個別的効力説によって重視される付随的審査制の「趣旨を厳格に貫けば」、裁判所による違憲審査は「その訴訟事件の事実関係限りにおいてのものとみるべき」(「適用審査」)ということになる。



② そして、この適用審査を前提にすると、「その事件に適用された限り当該法律(規定)を違憲無効とする」という結論が出てくる。しかし、当該法律が「相当な適用範囲にわたって憲法上保護された行為を規制するような場合」や、「そもそも憲法からみて容認できない発想に立ってできているような場合」、それでも「審査は当該事件の事実状況限りのもので」、「違憲の効力も当事者限りである」というのはどれほど論理的な結論であろうか。


③ そのため適用違憲を前提にするとしても、「適用審査による当事者限りの違憲無効」という場合のほか、適用審査を出発点としつつ「重大な欠陥を持つ法律そのものを非とし」その適用を一切認めない「適用審査に基づく文面上違憲無効」の場合も考えられる(そしてこの2つに漠然性、過度広範性との関係で問題になる「文面審査による文面上違憲無効」の場合が加わる)。


④ つまり最高裁による違憲判決の効力は、「当該法律を法令集から除去せしめるような効果を持ちえないが」、ときにその事件のみ適用されると断らない限り、「一般的に無効にしてもはや誰に対しても適用されないという趣旨を含意しているもの」と解すべきではないか(実質的一般的効力説)。


⑤ なお違憲判決の遡及効ということについては、当事者遡及効が基礎とされるべきであるが、当事者以外に対する遡及の可否や将来効判決の可否の問題がある。


佐藤幸治『憲法訴訟と司法権』(1984年、日本評論社)202-228頁。


原田尚彦「裁量権収縮論」

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